*当記事は前回ブログ「美容外科治療で失敗しないための4つのポイント(その1と2)」の続きです。
前回のブログでも考えた通り、美容外科治療における失敗の大きな要因としては次の4つの側面があります。
- 治療の有効性
- 治療の安全性
- 技術的なもの
- センス(美的感覚)
有効性・安全性とも問題ない治療を受けるとしても、治療の結果は医師の技術(テクニック)のレベルにより大きく左右されます。 「この先生は上手いかな?」 「性格は良さそうだけど下手じゃないかな?」 、、、etc の心配はクリニックを探される際のおなやみの中でも大きなものです。 そこで今回はその3:医師の技術について考えてみます。
ドクターの技術の3つの背景
その医師が持っている技術のレベルには以下の3つの要素があります。
- トレーニング
- 経験
- 器用さ
>> 1)トレーニング
これはその他の職人的仕事においても共通することですが、いきなりその職業についてもすぐ一流の仕事ができるわけではありません。例えばミシュランの星付きの料理人の方も、その多くは自分のお店を持つ前にやはりミシュランの星付きレストランで修行されていたりします。
医師の場合も通常は大学病院や総合病院で基礎的なトレーニングを受けます。美容外科や美容皮膚科のドクターでは形成外科や皮膚科がベースとなります。
例えば、形成外科では一人前の形成外科医として認められる形成外科学会専門医の資格を取るために最低7年(現在は6年?)の臨床研修と先天異常、熱傷、外傷、腫瘍、再建手術、等の多岐にわたる症例の治療経験とそれに基づく認定試験にパスすることが求められます。
もちろんそれらは一般の方からすると美容治療には直接的には関係が乏しく思えるものも少なくないですが、例えば腫瘍の切除と再建手術で培った顔面解剖に関する知識と経験やマイクロサージェリーのテクニックがヒアルロン酸の注入や目元を美しくする手術(眼瞼下垂や二重、、etc)においても生きてきたりします。
それが全てを保証してくれるわけではもちろんありませんが、その医師がどのようなトレーニングを受けてきたかは一つの参考になります。
2)経験
しっかりとしたトレーニングを受けていたとしても、それですぐ一流の仕事ができるとは限りません。
たとえば形成外科専門医の資格を持っていれば直ちに優れた美容外科医になれるかというと決してそうではありません。実際に私も形成外科専門医のライセンスを取った後さらに頭頸部外科のトレーニングを続け耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門医資格を取った後に、フリーランスの形成再建外科医となり美容外科の仕事も始めたわけですが、美容外科医として自分で納得出来る仕事ができるようになるまでにはやはり数年以上かかりました。
形成外科である程度キャリアを積んできたドクターは「美容外科の手術など簡単にできる」と思っていることが、得てしてありがちですが(私もそうでした)「機能を良くする手術(形成外科)」と「より美しくする手術(美容外科)」は要求されるものや要求されるレベルに少なくない違いがあります。
したがって美容外科医としての経験も医師の技術を考える大きな要素になります。
3)器用さ
手術だけでなくヒアルロン酸の注入においても手先の器用さや繊細さは良い結果を出すために大事な要素です。
ヒアルロン酸やボトックスのハンズオントレーニング(これから治療を始める参加者のDrに実際にモデル患者さんに注入してもらうトレーニング)をしているといつも感じることですが、Drにより手先の器用さは千差万別です。
もちろん手先の動きやテクニックはトレーニングや経験でよくなっていくものですが、持って生まれた器用さや繊細さもあります。身も蓋もないことを言えば大学病院の教授や大きな病院の部長クラス、その道の大家と言われるドクターでも実際に手術を見てみるときれいとは言えない手術をされていることは少なからずあります。(*個人の感想です)
ミシュランの星付きレストランで修行した若者すべてが星付きシェフにはなれないように、トレーニングや経験を積んだ外科医でも超一流になれるのはその一握りです。
今回のまとめです>>
医師の技術レベルは 「器用さ」×「トレーニング」×「経験」 のかけ算です。
そして技術レベルの高い医師が何人かいたとして、 最後に重要となってくるのがセンス(美的感覚)です。 >> 次回「美容外科で失敗しないための4つのポイント(最終回)」にてセンスについて考えます。
2016年9月15日 “Clinic for your Smile” 四条烏丸松ヶ崎クリニック 西村 雄
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