先日、「他院で手術した後の再手術もできますか?」と
受診された患者さんの手術を行いました。

 

 

コンタクトレンズの長期装用歴があり、両側の中~高度眼瞼下垂を認めました。
下垂のひどい右側は10年ほど前に大学病院で手術したが思ったほど改善せず、
左側もかなり下垂してきたためインターネットを調べて当院へ相談に来られました。

 

 

他院術後再手術の場合は、前回のオペにより眼瞼の解剖学的構造が正常な状態からかわっており、また術後瘢痕のため初回例より手術が複雑で挙筋機能も良好でないため、十分な改善が得られないことがあることをご説明しました。

 

 

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さて、手術は下垂の高度な右側より開始しました。
十分な開瞼が得られない可能性も考慮して切開線はやや狭い設定とし
皮膚切開後、眼輪筋をわけ瞼板前組織を剥離しました。

 

 

中央やや外側にて前回オペ時の固定糸と思われる青ナイロン糸が透見され↓、これを抜糸。

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さらに丁寧に剥離を進めると挙筋腱膜の瞼板への付着部をはずすことなく、
瞼板とその上方にミューラー筋がダイレクトに出てきました。
(前回の手術はミューラータッキングが行われていた可能性が高い)
挙筋腱膜は完全に瞼板からはずれ、眼窩脂肪・眼窩隔膜とともに眼窩の奥深くへ後退していました。
これを眼窩深くより前方へ引き出し、翻転した眼窩隔膜とともに挙筋腱膜を前転し
瞼板上方に7-0プロリーンにて適切なテンションがかかる位置にて固定。
座位でチェックすると右側は正常開瞼まで改善し、
これに伴いへリング効果によりただちに対側の下垂がさらに顕著となったため、続けて左側の手術を行いました。
左側は初回手術のため、通常の解剖学的構造を保持しており、
瞼板前面を剥離後、さくさくと挙筋腱膜を同定剥離しこれを瞼板上方に前転固定、
少し残した腱膜の断端にて瞼板前組織をサスペンションするよう固定し、
(この操作で重瞼線が作成されます)
皮膚を縫って手術終了しました。

 

 

今回の手術時間は

再手術の右側は複雑な解剖を丁寧に操作するため1時間15分
初回手術の左側は正常解剖で出血も少なくスムーズに進み30分
トータル1時間45分でした。

 

 

長時間の手術おつかれさまでした。

 

 

”Clinic for your smile ”
北山通り松ヶ崎クリニック(現:四条烏丸松ヶ崎クリニック)

西村 雄