今日は3月末に眼瞼下垂の手術をしたSさんの術後診察がありました。
30代後半のいつも明るさを振りまいておられるかわいらしい女性です。
20歳頃~の長期のハードコンタクトレンズ装用歴があり、
数年前からまぶたの重たい感じを自覚されていました。
(初診時正面視)
両側ともおでこの筋肉(前頭筋)も使って目を開けようとしていますが
まぶたが瞳孔にかかっています。
左目で優位にものを見られているため(左側が優位眼)、
眉毛拳上と挙筋の過剰な緊張に伴う上眼瞼の陥凹*を左側でより強く認めます。
(*眼窩脂肪をおさめる眼窩隔膜がともに引き込まれることによる)
また左側の眉毛をより強く持ち上げようとするため後頚部の緊張がアンバランスとなり
首が無意識のうちにわずかに右へ傾く傾向がありました。
(初診時上方視)
ブジ―にて上眼瞼を持ち上げると、
拳上されていた眉毛もスッと下垂し、
「こんな風に眼を開けられたらすごく楽です、」と
緩んだ挙筋の動きを代償するため他の部位に余計な緊張が
かかっていることを実感されていました。
カウンセリングにてまだ小学校前のお子さんがおられること
教育職に就かれていることから手術のゴールは挙筋腱膜を
正常な状態に整復したうえで、
目元はもともとの自然な状態を優先とし、
皮膚切除は術中必要があれば最小限行うこととしました。
術中所見にて両側とも挙筋腱膜(赤矢印)のゆるみ・菲薄化を認め、
特に左側は瞼板ー眼窩隔膜癒合部までの腱膜が欠損しているのかと思われるほどの状態でした。
そのため眼窩隔膜を切開翻転し挙筋腱膜とともに瞼板に前転固定しました。
術中座位にて実際に目の開き具合を見てもらいながら腱膜固定の微調整を行い、
手術を終了しました↓
ope終了時/手術直後の状態です。
すでに術後の腫脹が生じていますが、眉毛の緊張も軽くなり左右のバランスも良くなり楽に目をあけられる様になっています。
ope終了直後/手術直後の側貌です。
まぶたが自然にあけられるようになるとそれだけで横顔の印象も大きくかわってきます。
ope3wk/そして術後3週目、腫れもかなりひいて自然な目元になってきました。
「周りからは若くなった、若くなったといわれるんです、」と少し恐縮されている?
様子もありましたが(^-^)/
「ただ緩んで外れていた腱膜を修復しただけで、皮膚も一切切除していないので、
掛け値なしにもともとのSさんの目元をとりもどされたのですよ。何も余計な手術操作は加えてません。これが本来のお顔ですよ(‘-^*)/」とお話ししました。
「コンタクトは眼科の先生とも相談して今日からソフトコンタクトデビューです!」と
相変わらずの明るい雰囲気のSさんに今日も元気を頂きました。
Special Thanks to Mrs. S
April 18, 2011
北山通り松ヶ崎クリニック(現:四条烏丸松ヶ崎クリニック)
西村 雄